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過去の記憶はおぼろげであり病院に拾われてから今の性格が形成された。
院内で出会った先輩は愛を最も素晴らしいものであると教え、愛し愛される存在になれる教育を丁寧に彼女に施した。
愛されることにより私達の存在は確立され"I"、人となる。そうすれば辛い現状に幸せが芽生える。
そう教えてくれた先輩は患者の1人と結婚し、いなくなってしまったが鳴は今でもその教えを実践している。
相手が求める姿形になれるよう努めているのもその一貫。
仕事は仕事と割り切っているわけではなく、この生き方しかしてこなかったからこそ他の選択肢を知らない。仕事は日々のルーティンの一つだと思っている。

一応、付き合うという契約を交わしてからは少し自我が芽生え始めている。自身の好みをだんだん認知し話すようになってきた。

雷雨は過去に生き別れた兄である。鳴は兄がいたという記憶があまり残っていないため、もし街中で出会ったとしても特に何も起こらない。

・『創造直線恋煩ゐ─閃光フラッシュ』

「先輩から、恋とは雷のように落ちるものとききました」
彼女の目には閃光が宿る。
彼女の瞳には相手が写る。
移ろう人の感情も、加速しだした衝動に、こいに抗う術はない。
それは例え彼女自身が理解していなくとも────。
恋に落とし、故意に堕ちる。
ストレヰトな恋心は感情抱きし者たちにふりそそぐ。
「私は雷(いかずち)を鳴らすもの」
『創造直線恋煩ゐ─閃光【フラッシュ】』